ひとりぼっちの上司と私
社長はサラッと言ってのけるけれど、聞けば聞くほど責任重大な仕事。
自分に自信のなかった昔の私なら、なんとか逃げ道を探して断ったかもしれない。自分にその器はないって。
でも……せっかくもらったチャンスを、みすみす捨てたくはない。
私はもう、オフィスの端っこでひとり存在感を消していた過去の私ではない。商品企画部の一員としてプライドを持って仕事をしている、れっきとしたここの社員だ。
社長が私を信頼してくれるのなら、誠意をもってその期待に応えたい。
「わかりました。やります。やらせてください」
社長の目を見て、しっかりと頷く。社長はホッとしたように目を細めて笑った。
「加納さんならそう言ってくれると思ってたよ。じゃ、イベントの資料は後で須田から送らせる」
「わかりました。ちなみに、須田さんは担当者の人選について不安がっていませんでしたか……?」
心配なのはそこだった。社長は自分の感覚でなにもかも決めてしまうけれど、須田さんはきちんとした理論や数字を大切にする人。
経験の浅い私がイベントの相棒では、頼りないと思ったのではないだろうか。