ひとりぼっちの上司と私
「まさか。アイツはいつだって加納さんの味方だよ。入社したばかりの頃だって、地方出身者で頼れる人が近くにいないきみのこと、誰より注意深く見守ってた。前の会社で壊れてしまった経験のある彼だからこそ、極端な孤独が人が追い詰めていくってこと、よく知っているんだろうね」
……やっぱり、そうだったんだ。思い返してみれば、オフ会で初めて須田さんとじっくり話した時にも、彼は言っていた。
『長らく会社での様子を心配していた部下が元気を取り戻してくれてよかった』
『部署で孤立しているように見えたから、上司として少し気に留めていたんだ』
あの時は、鬼上司だと思っていた彼の意外な優しさにとても救われた。
と、同時に、お酒のせいで本音が漏れてしまった照れくささで真っ赤になる彼の姿に、温かい気持ちになったっけ。
思いやりがあって頼もしい上司の彼が一緒なら、きっと展示会もうまくいくよね。
もちろん、須田さんに負担をかけてばかりでは意味がない。彼の足を引っ張らないようにしながら、かつ私自身が担当者としての自覚を持って、タイニーポケットの魅力を引き出す案を考える。
簡単な仕事ではないだろうけど、やれるだけやってみよう――。