ひとりぼっちの上司と私
「急に目が輝いたな。ピザよりラーメンの方がよかったか?」
「それは……さすがにちょっと違うかも、です。いや、初デートのランチで、無言で熱々のラーメンを啜るカップルがいてもいいですし、それはそれで幸せそうですが、カウンターだとふたりとも同じ方向を向いているじゃないですか。そうすると、その……こうやって顔を見て話せないので」
つまり、せっかくなら食事中はあなたの顔を見ていたい――という意味なのだが、口に出したらとても恥ずかしくて、途中で目を合わせられなくなってしまった。
「そうだな。同じ方向を見ていたら、口にトマトソースがついていても指摘してやれないし」
「えっ。私、ついてますか!?」
とっさに紙ナプキンを口元に当てると、須田さんがふっと苦笑した。
「慌てなくても大丈夫だ。ただのたとえ話だから」
「そうでしたか……もう、てっきり」
クスクス笑う彼の前で胸を撫でおろし、食事を再開する。
ピザはもちろん美味しかったし、店内のインテリアや雰囲気も和やかで、ふわふわとした優しい時間が流れている。
その上目の前では好きな人が微笑んでいるという状況が幸せすぎて、胸がいっぱいだ。
食事の前は食べたいと思っていたデザートも完食できる自信がなくなってしまい、結局遠慮した。