ひとりぼっちの上司と私

「こうして私が隣にいて、須田さんの愚痴や悩みを聞いたり、息抜きに一緒に出かけたりしてるのを知ったら……弟さんも安心しますよね、きっと」

 須田さんのまつ毛が微かに震え、私を映している瞳に穏やかな色が戻ってくる。

 それから、手すりの上にあった手を一度スッと引いた彼は、今度は逆に私の手の甲を包み込むようにして、しっかりと握り直す。

 私の気持ちはちゃんと届いていると、伝えてくれるように。

「ああ、そうだな。今度、弟に紹介する」
「楽しみにしてます。ちなみに、どんな方ですか?」
「そうだな……クリエイターなだけあって、性格は歌代社長に通じるところがあるかもしれない。それでも、弟の方がまだ良心がある気はするが」
「ふふっ。社長は相当癖が強いですからね。そうだ、あの恋みくじ、社長が引いた時に出て来たひと言がすっごくおもしろくて――」

 私たちはその後も、展望台をゆっくりと回りながら他愛のない会話を楽しみ、心を通わせる。

 照れや緊張も次第に解けてきて、帰る時に立ち寄ったお土産ショップでは『学生みたいですかね?』と言い合いつつも、お揃いのキーホルダーを買った。

 写真と同じで、誰にも見せないで大切にとっておけばいいだろうと、須田さんが言ってくれたからだ。

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