ひとりぼっちの上司と私

 タワーを出た後、芝公園のベンチで午後のぽかぽかとした日差しを浴びながら、少し休憩した。

 公園内に出店していたキッチンカーでテイクアウトしたカフェラテを片手に、少し気だるい午後の空気にまったりと浸る。

 とても気持ちが楽になっていたせいか、私はふと思いついたことをそのまま口に出した。

「雄馬とのデートでは、こういう目的のない時間を過ごすことはあまりなかったなー……」
「目的のない時間?」
「はい。公園でのんびりするとか、知らない場所を散歩してみるとか……そういうのが嫌いな人だったんです。色々なところには連れて行ってくれましたけど、たとえば疲れたからちょっとプランを変えたいと私が言おうものなら、〝せっかくお前のために考えたデートを台無しにするな〟って感じで不機嫌になってしまって……」

 デートの終わりに最悪な空気になっている、なんてパターンも一度や二度ではなかった。

 今思えば、本当に疲れるお付き合いだったなぁと思う。

 当時を回想して思わずため息をついた私は、須田さんがずっと無言でいることに気づいてハッとする。

「す、すみません。こんな話……。今は須田さんと一緒にいるのに」

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