ひとりぼっちの上司と私
「今は、カプセルトイ……ガチャガチャの会社にいる」
「えっ?」
瑠璃川さんの眉がぴくりと震える。予想もしていなかった単語が聞こえた、という感じだ。
「従業員は三十名と少し。俺は営業の元締めと社長を補佐する取締役を兼ねているが、他のメンバーも基本的にはあらゆる仕事を兼務している」
「さ、三十人……? ずいぶんとスケールが小さくなったのね。大丈夫なの? その会社」
瑠璃川さんとしては正直な感想なのだろう。しかし、口に出す前にもう少し相手の気持ちを想像すべきではないかと、徐々に腹が立ってくる。
そりゃあ、遠山物産に比べたら弱小企業なのは確かだ。でも、私たち社員は誰ひとり、そんなことを気にして仕事はしていない。
「少数精鋭なんだ。彼女も企画開発にはなくてはならない存在で」
繋いでいた手をパッと離した彼が、私の肩に手を添えてポンと叩いた。
いきなり話題に出され、やや挙動不審になってしまう。
「は、はじめまして。加納と申します」
「ふうん……そうなの。もったいないわね……あなたほどの人が」
瑠璃川さんは、挨拶した私には一瞥もくれず、須田さんを見つめて嘆息する。
声をかけてきた時に見せた瞳の輝きは失われ、それと同時に須田さんに対する興味も失われたように見えた。