ひとりぼっちの上司と私

「今日の須田さんはちょっとおかしいです。私はあなたの味方だし、力になりたい。でも、それは現実逃避のお手伝いをしたいわけじゃないというか……」

 気持ちばかり空回りして、うまく説明できない。

 そんな自分を歯痒く思っていると、須田さんが私の手をゆるく掴んで下ろさせ、静かに息をつく。

「……悪かった。軽率だったな」

 私から軽く視線をずらした状態で、彼がぽつりと呟く。

 そのぎこちない態度が瑠璃川さんと対峙した時の彼を彷彿とさせ、もしかしたら傷つけてしまったかもと急に不安になる。

「あの。私、嫌だったわけじゃなくて……!」
「そんなに必死にならなくて大丈夫だ。こう見えてお前より七つも年上だし、孤独には慣れてる」

 彼と私との間に、突然見えない壁ができてしまったようだ。

 あんなに楽しい時間を過ごしていたのが嘘のように、彼は少しも私を見てくれない。

「須田さん……絶対になにか誤解してます。今度、ちゃんと説明させてください。私と目を合わせたくないなら、ゲームの中でもいいです」

 このまま彼が後ろ向きに自己完結するのを許していいはずがない。

 あなたは私を助けてくれた優しい人で、頼れる上司で、ゲーム仲間で……私の、好きな人。

 とにかく、誰にも代わりを務められない唯一無二の存在なのだ。

 そんな風に、心を閉じないでほしい。

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