ひとりぼっちの上司と私
丸みを帯びた人の形をした、ジンジャーブレッドマンクッキーだ。
アイシングで描かれた目や口に温かみがあってかわいらしい。
「ありがとうございます。これ、我妻さんの手作りですか?」
「そう。まだ練習不足で不細工だけど、一カ月後のクリスマスまでにはもうちょっとうまく作れるようになるつもり」
「へ~、すごい。誰かにプレゼントする予定があるんですか?」
なにげなく聞いただけなのに、我妻さんの顔が急に真っ赤になった。
この反応って……。
「我妻さん、もしかして彼氏ができたんですか?」
オフィスには私と彼女しかいなかったので、少々突っ込んだ質問だと思いつつも、聞かずにはいられなかった。
「いや~、自分でもまさかだけど、実は……うん。彼にあげる前の実験台みたいにしちゃってごめんね」
いつもは東京女子代表みたいなスマートさで仕事をする彼女が少女のように頬を染める姿に、同性ながらキュンとする。
この感じはきっと、付き合いたての一番初々しい時期だ。
「おめでとうございます。もしよかったら、詳しく聞かせてください」
私は隣の椅子を引いて、我妻さんを歓迎する。彼女はもじもじしながらも、頷いて腰を下ろした。