ひとりぼっちの上司と私

 意気揚々と話し始めたはいいが、営業職が専門の須田さんには、もしかしたら共感できないかもしれない。そう思うと、言葉尻が頼りなくなる。

《加納》
「はい」
《……お前は本当にこの数カ月で、一気に成長したな。未だに足踏みしている自分が恥ずかしいよ》
「そんな。私は全然……。それに、須田さんだって足踏みしているわけじゃ――」
《でもいい加減、こんな自分からは卒業したいと思ってる。お前みたいに、もっと自分の仕事を好きになって、遠山物産時代の同僚がまた現れたって、堂々としていられるように》
「須田さん……」

 まるで誓いを立てるように力強く語った彼に、胸が熱くなった。

 私はなにもしていないけれど、少しでも彼が立ち直るきっかけになれているのなら、これ以上うれしいことはない。

《だから、まだ俺を見限らないでほしい。勝手な頼みだとはわかってるが、もう一度、ひとりの男としてお前の隣に立てるように努力するから。どうか待っていてほしい》

 ひとりの男として――。

 先ほどまでは仕事の話だったのに、突然矛先が変わったのでどきりとした。

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