ひとりぼっちの上司と私
唇に込めた想い――side賢哉
正月休みが明け、一週間が経った。
朝から冬晴れの空が広がった今日は、満を持して迎えた展示会イベントの当日。
一年を通して大規模なイベントが行われる巨大なコンベンションセンターを早朝から訪れた俺たちは、搬入作業や自社ブースの設営、ガチャマシンの動作確認など、各担当者が分担して作業に当たっていた。
俺は全体を統括する責任者であるため、前日から準備の必要な電気系統の確認や大型什器の搬入に立ち会い、本格的な設営に入った当日の今日は、その現場を監督している。
各作業を順に確認しては指示を出し、人手が足りなそうなであれば補佐に回ったりと、とにかく忙しい。
大手の企業は専門の制作会社にブースの準備を依頼しているのだろうが、うちにそんな余裕はない。
社員総出とまではいかなくとも、動けそうな部署の社員を十名あまりこのイベントのために確保し、普段はやらないであろう作業もみんなで協力して行っている。
「照明が明るすぎるな、もう少し暗くできるか?」
「はい」
「ここの配線、まだ養生テープが貼られてないぞ。気をつけろ」
「すみません、今やります」