ひとりぼっちの上司と私
「ああ。こってり系のラーメンを食べてもびくともしないお前の内臓は丈夫そうだからな。一本くらいなら気にすることもないだろう」
「やった、ありがとうございます!」
ぷしゅ、と小気味よい音を立ててプルタブを開けた彼女は、腰に手を当てたスタイルでさっそくエナジードリンクを喉に流し込む。
わかりやすく気合いの入っている姿がかわいらしくて、思わずふっと微笑んでから、俺も自分の飲み物に口をつける。
「あまっ……」
いつも会社で飲んでいるものとは少々味が違い、予想外の甘さに顔をしかめる。思わず小さく咳込んだ俺を見て、加納がおかしそうに肩を揺らす。
そういえば、このコーヒーを箱から選んで俺に渡したのは彼女だ。
まさか、この甘さを知ってて……?
「上司をハメるとはいい度胸だな」
「いえいえ、別にそういうつもりじゃないです。単に甘いものを飲んでリラックスしてほしいなって……ふふっ」
「よく見たら加糖でも微糖でもなく〝激甘糖〟って書いてあるじゃないか。まったく総務部の担当者もどういうセンスをしているんだ」
少しは舌が慣れただろうと試しにもう一度口に含んでみると、まったく同じ甘ったるさを感じ、眉間にしわが寄る。
加納はそんな俺を見ていつまでもクスクス笑っていたが、俺は怒るでも呆れるでもなく、もう一度だけ心の中で、『あまっ……』と呟いた。