ひとりぼっちの上司と私
うれしそうな女性ふたりの間に後ろ向きで立ち、別の社員に頼んで写真を撮ってもらう。すると、目線の先で加納がひとりの女性と立ち話している姿が見えた。
常に洗練された空気を纏っている、あの自信に満ち溢れた佇まい。……瑠璃川?
穏やかだった感情が、一瞬にしてざわめく。
「ありがとうございました! いい記念になりました」
「今日はマグロさん引けなかったので、発売されたら絶対にコンプリートしますね」
上機嫌で去っていった女性たちを見送ると、俺は頭の被り物を外して脇に抱え、ふたりの方へ近づいていく。
先に俺の姿に気づいた加納は、〝来なくていい〟とでも言いたげに首を微かに振る。
しかし、俺はむしろ大股になって彼女たちのもとへ急いだ。
初めて加納とデートに出かけ、遠山物産を退職してから初めて元同僚の瑠璃川と顔を合わせたあの時――俺の心は一気に過去に引き戻されたような感覚に陥り、情けないほど怯えていた。
今でもあの会社で活躍している瑠璃川たちのような社員が世の中の勝者で、自分は尻尾を巻いて逃げた敗者。
心の深い場所に閉じ込めていたはずのコンプレックスが一気に膨らんで、まともに彼女の目を見ることもできなかった。
しかし、今の俺なら……。
「来ていたのか、瑠璃川」
声をかけると、加納と話していた彼女の視線がふとこちらを向いた。