ひとりぼっちの上司と私
しかし、いい人には違いないと勝手に思っているので、ゲームの進行に戸惑ってマップで不審な動きをしている彼に、ついこちらから話しかけてしまうのだ。
今日もなにか困っているのかもしれない。そう思いながらメッセージを開封する。
【お世話になっております。昨日、無心で薪割りに勤しんでいたところ、ユリコさんご所望の木材を大量に獲得できました。500本ほど添付いたしますので、何卒ご査収ください】
えーっと……これ、仕事用のメッセージじゃないよね。
堅苦しい文章に一瞬ぽかんとした後、思わずふっと笑いが漏れる。
ヤスダさんから送られてくるメッセージはいつもこうなのだ。どうやらとても真面目な人らしい。
【お疲れ様です。木材うれしいです~! これで限定家具が作れます! ヤスダさんは新しい洋服を買えましたか? 木材のお礼に一着送りますのでよかったら着てください】
返信メッセージを打ち終わると、手持ちの服の中から、ヤスダさんのイメージ合っているプレーンな白シャツをプレゼントにつけて、送信の文字をタップする。
画面がのどかなホーム画面に戻ったところで、一度スマホをテーブルに置いて立ち上がった。
ヤスダさんのメッセージのおかげで気分が切り替わったのか、いつの間にか眠気も疲れも感じなくなっていたのだ。
「体が動くうちにシャワー浴びちゃおうっと」
先に食事にしてしまうと、たちまち動くのが面倒になり〝風呂キャン〟したくなってしまう。
それを避けるためにてきぱきタオルや着替えの準備をして、狭いユニットバスのドアを開けた。