ひとりぼっちの上司と私

 賢哉さんが部屋を出て行った後、私はとりあえず昨日来ていた服に着替え、ポーチに入っていたメイク道具で簡単にメイクをする。

 とりあえず人前に出られる見た目になったかな……というところで、賢哉さんに【お待たせしました。準備オッケーです】とメッセージを入れた。

 数分後、私は賢哉さんの弟でゆうメロの開発者でもある須田直哉さんと、初めて対面を果たした。

 四人掛けのダイニングテーブルの片側に私と賢哉さんが並んで座り、直哉さんはその正面に。

 顔は兄弟で似ていても、男らしく武骨な印象の賢哉さんと違って、直哉さんは中性的な雰囲気を纏った、綺麗な顔立ちの人だった。

「はじめまして。会社でいつも賢哉さんにお世話になっています。加納莉々と申します」
「こちらこそ、兄貴と〝石拾いのヤスダ〟がいつもお世話になっています。俺は、須田直哉という名前で……時々『イザナミ』という名前でゆうメロをフラフラしてます」

 ――やっぱり。彼がイザナミさん……!

「女性の方じゃなかったんですね……」
「俺も、さっき下で話を聞いて驚愕したよ」

 賢哉さんはすでに彼から詳しい話を聞いていたらしい。

 いまだに信じられない様子ではあるけれど、直哉さんがイザナミさんと同一人物であるというのは事実であるようだ。

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