ひとりぼっちの上司と私
体力も精神力も人間離れしたエリートに囲まれながら結果を出さなければならない、毎日がそのプレッシャーの連続。
誰かの手を借りたら負けのような気がして、全部ひとりで解決しようとして……結果、仕事の楽しさも達成感もわからなくなり、心も体も静かに壊れていった。
睡眠は浅く、三時間眠れればいい方で、食事をすれば胃が痛くなる。わけもなく冷や汗が出てくる。
最終的には出社することに恐怖を覚えてしまうようになり、転職をせざるを得なかった。
直哉も当時の俺の状態はよく知っているので、こうしてマメに連絡をよこし、話し相手になってくれているのだろう。
『ちなみに、なにを助けてもらったんだ? 協力イベントとか?』
「いや、そんな高度な遊び方は未経験だ。お前にゆうメロを紹介してもらってすぐ、三日間くらいチュートリアルでつまずいててその時に……」
『チュートリアルでつまずく……?』
ゲーム開発者である上、自身も熟練のゲーマーである直哉には信じられないのだろう。
俺は思わず苦笑し、三カ月前の自分を思い出す。
ゲーム初心者の俺はそのチュートリアルのひとつ『貝殻を拾う』というノルマをなかなか達成できず、マップ上に落ちている物を手あたり次第拾う怪しいプレイヤーだった。