ひとりぼっちの上司と私

 二時間程度の残業を終え、帰路につく。

 自宅マンションがあるのは、会社のある華やかなエリアからふた駅離れた静かな街だ。

 住んでいる築浅の中規模マンションには俺のような単身者が多く、近所づきあいなどはない。

 前の会社を辞めてすぐの頃、精神的に参っていた俺にはそれが気楽だったが、今ではたまに孤独感を覚えている。

 三十二歳ともなれば、家族を持つ人もいるだろう。あるいは独身でも、休日くらいは恋人や友人と会う予定が入っていたり、趣味に勤しんだり……。

 どれも俺にはないものだが、日課となっている夕波メロウはそろそろ趣味と呼んでもいいかもしれない。

 あのゲームの中に流れる静かな時間、美しい景色、かわいらしいアバター、とくに待ち合わせの約束をしていなくても偶然同じ時間帯にログインしていれば会える、親切なユリコさん。

 ……今日、彼女はログインしているだろうか。

 俺と違って、彼女には他にもゲームで繋がっている仲間がいるため、同時に遊んでいても会えなかったり、会えても彼女が他の人と共同作業をしている横を通り過ぎるだけの時もある。

 そんな時、俺は社交的な彼女が眩しく思えるとともに、一抹の寂しさを感じるのだった。

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