ひとりぼっちの上司と私

 帰宅すしてすぐ、ワイシャツの袖を捲ってエプロンを着ける。手を洗って冷蔵庫を開け、朝のうちにチャック付きの保存袋の中でタレを染み込ませておいた豚のロース肉を取り出した。

 フライパンに油を引き、中火で焼いていく。

 仕事に追いつめられて心身のバランスを崩していた頃は、食事を適当にしていたせいで、俺の胃腸はすこぶる不調だった。

 そこで転職後は意識的に自炊をするようにしてみたところ、胃痛も治まったし腸内環境も改善している実感があった。

 だから料理は趣味というよりも、自分が再び壊れてしまうのを防ぐ手段。同じ理由で、どんなに疲れていても風呂に入る時はシャワーだけで済ませず、湯舟に浸かるようにしている。

 豚肉が焼けたらひと口大に切って皿にのせ、横に茹でた冷凍インゲンとミニトマトを添え、簡素なダイニングテーブルに運んだ。

 横に白飯をつければ、なんとかそれらしい定食になる。欲を言えば汁物も欲しかったが、今日は作っている余裕がなかった。

「いただきます」

 小さく口に出し、手を合わせる。豚肉は可もなく不可もない味だが、白飯と一緒に口に運んでいると、あっという間に最後のひと切れになる。

 これを食べて短い食事を終えたら、すぐに洗い物。それから風呂に入って、下着とワイシャツを洗濯して……。

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