ひとりぼっちの上司と私
夕波メロウ
「ねえ、クリアな見た目のグミシリーズはどう?」
「ビジュアル的には魅力的だと思うけど、誤飲対策は必須だね」
「じゃあ、袋入りの状態で表現して、袋の透けた部分から中のグミが見える仕様は?」
「いいね。何色展開にする? 最低でも六色は欲しいよね」
目の前で、トレンドの服やアクセサリーを身に着けたお洒落な先輩方が、ついていけない速度で意見交換をし、新商品の方針を決めていく。
私は聞き漏らさないよう必死になりながら、パソコンのキーボードを叩いてメモを取った。
ここは、カプセルトイメーカー『タイニーポケット』の商品企画部。
従業員三十人程度の小さな会社だが、作っている日常系のミニチュア商品はとても人気がある。昨今の販売戦略に欠かせないSNSとの相性もよく、業績は右肩上がり。
商品企画部に所属する社員は私を含め十名弱で、オフィスの中央に置かれたナチュラルな風合いの木製ミーティングテーブルを囲み、いつもこんな風にカジュアルな雑談からアイデアを募っている。