ひとりぼっちの上司と私

「加納さんはどう? 商品づくりのヒントになりそうな、お気に入りのグミとかある?」

 この部署のリーダーを務める我妻(あがつま)さんが、ふわふわのロングヘアと耳につけた大振りのピアスを揺らし、唐突に話を振ってきた。

 私は進んで議事録係を引き受けて自分の意見を言わなくても済むようにしていたため、急にメンバーの視線が集まるこの状況に狼狽え、やや挙動不審になる。

「えっと……私はあの、前にコンビニの期間限定商品で出ていた、国産の梨果汁を使ったグミが好きでした……」
「あ~! あれ美味しかったよね。でも、梨は色的に地味かも」
「リンゴと間違えやすいしね」
「グミならむしろどぎつい色でちょうどいい感じだよね。輸入商品、いくつか参考にしてみようか」

 私がひねり出した意見はあっという間に却下され、先輩たちはどんどん次のステップに話を発展させていく。

 私も元々はこういう、誰かの〝好き〟を刺激するモノづくりがしたくてこの会社に入った。

 しかし、流行への感度が高くハイセンスで頭の回転も速い先輩たちに囲まれていると、自分には適性がなかったのでは……?と、最近は落ち込むことも多い。

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