ひとりぼっちの上司と私
自分でも健全な感情ではないとわかっていたため、コントローラーのスティックを強めに倒し、場所を移動しようとしたその時だった。
画面の端――ユリコさんたちがいる場所に吹き出しが現れ、【ヤスダさん!】と呼びかけられる。
声を掛けられてうれしいというよりも、申し訳なさが先に来る。
せっかく楽しそうにしているところに、水を差してしまったような気がしたのだ。
それでも無視するわけにはいかないので、倒していたコントローラーのスティックを今度は逆向きにして、彼女たちの方へ歩み寄る。
【こんばんは】
当たり障りのない挨拶をしてみたものの、もうひとりのプレイヤーとは初対面のため、なんとも気まずい。
――と、思っていたら、相手方からチャットの吹き出しで話しかけられる。
発言者のプレイヤー名は『イザナミ』と表示されている。
【石拾いのヤスダさんだ! はじめまして。あたし、イザナミです】
……石拾い?
反応できずに固まっていると、今度はユリコさんが発言する。
【ヤスダさん、有名人ですよ。〝さいしょのふく〟から着替えないまま一心不乱に石を拾ってたから、みんな気になっていたみたいです】
そ、そうだったのか。
パソコンの前でひとり恥ずかしくなり、首から耳にかけてがかぁっと熱くなった。