ひとりぼっちの上司と私

 どちらもマグロだけど、見た目が全然違う。

 ふと、カプセルトイ用のミニチュアにした時に映えるのはどっちだろうと考えた。料理モノは定番で女性人気が高いし、リアルな生き物系は子どもや男性に人気が高い。

 いっそのこと、どちらも一緒にカプセルに入れてしまえば、購買層を広げられる……?

 単純で虫のいい発想だとは思いつつも、私は珍しく仕事のことでワクワクし、次の出勤時から紙粘土でサンプルを作成し始めたというわけだ。そして、奇跡的に社長にも企画を認めてもらえた。

 ……今日のオフ会で、ヤスダさんにお礼を言わなくちゃ。

 これまであまり前向きになれずにいた仕事へのモチベーションが、ヤスダさんとの会話をきっかけにぐっと高まったんですよって。

「よしっ。終わり。六時半ぴったり……!」

 パソコンを閉じて腕時計を確認し、すっくと自分の席から立ち上がる。

 今日の服装は白のハイゲージニットに、ネイビーのセンタープレスパンツ。足元は通勤用のローファーだが、これから初対面の相手と会うので、できるだけ悪い印象を与えないよう、いつもより綺麗めな服装を心掛けたつもりだ。

「お先に失礼します」

 まだ残っている先輩方に挨拶をして、廊下に出る。すると、ちょうど目の前を横切っていく人物がいた。

 急いでいるのか、長い脚でスタスタとエレベーターの方を目指しているのはビジネスバッグを手にしている須田さんだ。

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