ひとりぼっちの上司と私

「す、須田さん……?」

 彼を避けるようにして待ち合わせ場所を変えたはずなのに……どうしてここにいるの。誰かと待ち合わせをしていた様子だったのに、ひとりでいるのも不思議だ。

 お互いに呆然としていると、私はふと、彼の手が握っているスマホに馴染みのある画面が映っていることに気づく。

 あの背景デザインは、ゆうメロのメッセージボックス。須田さんがあのゲームで遊んでいたなんて意外だな……って。

 ふと、脳裏にある考えが浮かぶ。

 ヤスダさんは、グレーのスーツにネイビーのドット柄ネクタイを合わせていると言っていた。目の前の上司も、同じ服装だ。

 まさかとは思いながらも、問いかけずにはいられない。

「あの、ヤスダさん……ですか?」

 須田さんが驚いたように目を見開き、私の姿を上から下まで眺める。

「ということは、加納がユリコさん……?」

 信じられないけれど、どうやら夢ではないみたいだ。

 私は、会社で鬼上司として恐れられている須田さんと、ずっとゆうメロの中で会話をしていたのだ。

 頭では理解したものの、あの腰の低いヤスダさんと目の前の須田さんのイメージが、どうしても重ならない。

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