ひとりぼっちの上司と私
彼の過去に触れて
オフ会以降、仕事へのやる気が俄然アップした私は、これまでオドオドと周囲の顔色ばかりうかがっていた態度を改め、勇気を出して自分の意見を伝えてみることにした。
気合いばかりで空回りしてしまうこともあるけれど、先輩たちとの関係も、日に日に改善している気がする。
「加納さん、たまには一緒にランチ行こうよ」
月が変わって十月になったばかりのある日。昼休みを迎えた商品企画部のオフィスで、我妻さんが声をかけてくれた。
相変わらずお洒落な東京女子オーラが溢れている彼女に誘われてドキドキしてしまうが、ここは、職場での関係を円滑にするためにも参加すべきだと、自分を奮い立たせる。
「はい。ぜひ」
「よかった~。なに食べたい? 加納さんの好きなものにしよ」
ぱちんと両手を合わせて微笑む我妻さん。とても美しくて神々しい。
「えっと、じゃあ……」
ここで我妻さんの好みに寄せた回答をするなら、今までの私と変わらない。
私は意を決して、本当に気になっているお店を答えた。
「罪悪麺シリーズを監修してるラーメン屋さんが、近くにも店舗を出したらしいので行ってみたいのですが……ひとりで入る勇気がなくて。もしよかったら、お付き合いいただけたらと」
我妻さんの猫のような瞳が大きく見開かれて、きょとんとしたように瞬きをする。