ひとりぼっちの上司と私
「罪悪麺って、カップ麺の?」
「そうです。すっごく不健康な味の。私はそれがたまらなく好きなんですが」
たぶん、味だけでなく栄養成分的にも不健康まっしぐらの数値を叩き出しているだろう。
肌も髪も艶々で、スタイルも抜群の我妻さんにはヴィランのような食べ物かもしれない。だとしたら申し訳ないけれど……。
「ちょっと待って、うれしい! 加納さんもあのシリーズ推してるの?」
意外な反応だった。花が咲いたように笑う我妻さんに、こくこく頷きを返す。
「私もまったく同じ理由で新店舗行けてなかったの! せっかく会社に近いのに損だなぁって思いつつもあと一歩のところで勇気が出なくて……たぶん並ぶから、今すぐ行こ!」
我妻さんの興奮ぶりに面喰らって、私は一瞬固まってしまった。
彼女を誘うならおしゃれな店でなくてはならないのでは……? という先入観は、私の勝手な思い込みだったようだ。
「は、はい。行きましょう」
笑顔を返し、彼女と連れ立って会社を出る。
途中、廊下ですれ違った須田さんが〝珍しいな〟とでも言いたげな顔で私たちを見ていた。