ひとりぼっちの上司と私
ちなみに、私の故郷は自然豊かな富山県。一度は地元の道の駅に就職したのだが、三年で辞めてここに転職したのだ。
仕事にも職場の人間関係にも目立った不満はなかったのだけれど、上の世代には古い価値観がまだ根強く残っている地域。
〝地元で結婚し、子どもを産んで育てるのが女の幸せ〟と、口に出して言われなくても、そういう空気が漂っていた。
当然その環境を窮屈に思う友人たちも少なからずおり、彼らは大学進学や就職を気に都会へと出て行った。
私もどこかのタイミングで……とは思いつつもダラダラと過ごしてしまい、ようやく東京での転職を決断したのが一年半前のこと。
決して地元が嫌いになったわけではないけれど、どうしても東京への憧れが捨てきれなかったし、一度きりの人生、自分ひとりの力で好きなように生きてみたかった。
元々、小さなものやかわいいものが好きで、こういう商品が売っていたらな……と想像した文房具や雑貨、ぬいぐるみなどをイラストに起こすことが幼い頃からの趣味だった。
大人になっても続けていたのでその空想イラストは結構な量になり、厳選したものをポートフォリオにまとめて、転職活動を始めた。
ちょうどその時、この会社が中途採用を募集していたので、ダメもとで応募したのだった。