ひとりぼっちの上司と私

 私は日頃のミーティングを思い返して頷く。

 その場でSNSのチェックをしたりもするから、はたから見たら、スマホを片手におしゃべりしているだけにも見えるかもしれない。

「だから、ふざけているように取られちゃって、加納さんみたいに別業種から来た中途の人は雰囲気が合わずに辞めちゃう人もいたんだよね。それが何人か続いた後で加納さんが入ってくれたの。今度の人はなんとしてでも手放さないようにしなきゃって、私たちもちょっと緊張しながら仕事してたんだよね。加納さんとのコミュニケーションにも、どこか迷走しちゃってたというか」

 我妻さんが照れたように苦笑する。そんな裏話があったとは、今までまったく知らなかった。

 同じペースで歩きながらもなにも言えずにいたら、我妻さんがぴたりと足を止める。

「でも、最近の加納さんは笑顔も増えたし、楽しそうに仕事をしてる。だから、腫れ物に触るみたいに接するのはやめて、これからはどんどん積極的に交流したいと思ってるんだけど……いいかな?」

 少し不安げに、我妻さんが私の顔を覗き込む。

 思いがけない先輩の本音に触れ、うれしいやら申し訳ないやらで胸がいっぱいになった。

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