ひとりぼっちの上司と私
「もちろんです。それに私の方こそ、地方出身って言うコンプレックスとか色々あって、我妻さんを含め、先輩たちとの間に勝手に壁を作っていました。でも、これからはその壁を取り払って、商品企画部の戦力になりたい。もっと皆さんのお役に立ちたいです」
心の内を明かしてくれた我妻さんの思いに応えたくて、私も思いの丈をぶつける。
我妻さんは先輩らしいおおらかな笑みを返してくれた。
「加納さん、改めてこれからもよろしくね」
「はいっ」
笑い合う私たちの間に、ミントの爽やかな香りがする風が吹き抜ける。
タイニーポケットに勤め始めて一年以上経っているけれど、私は今この瞬間、ようやく会社の一員になれたような気がして、胸を弾ませた。
我妻さんとランチをした日から数日後。
久々にゲームの中で須田さんに会い、私たちの待ち合わせスポットになっている波止場で近況を語りながら、並んで釣り糸を垂らした。
【最近、頑張ってるみたいだな】
チャットでそう話す彼の口調は、ヤスダさんらしい敬語から、普段の須田さんと同じように変わっていた。
【はい、毎日充実してます!】
胸を張ってそう答えると、直後にヒットした感覚があり、ユリコが丸々太った鯛を釣り上げた。