ひとりぼっちの上司と私
「……それもそうだな。歌代社長に会社の金は預けられない」
冗談に乗ってくれる元気が戻ってきたようでホッとする。
今の私にできるのはこれくらいだよね……。あとは、上司としての彼の気苦労を減らせるよう、仕事でもっと貢献しないと。
「じゃあ私、仕事に戻りますね。」
オフィスに戻ろうと椅子から腰を上げ、彼にぺこりと頭を下げる。
「ちょっと待て」
引き留められたので顔を上げると、須田さんは自動販売機の前にいた。少し悩んでからボタンを押しし、取り出し口から出てきたミニサイズのペットボトルを私に差し出す。
温かいカフェラテだ。きょとんとしていたら、押し付けるように渡される。
「昔、無理して体を壊した俺からの忠告。仕事を頑張りたい時でも、エナドリとブラックコーヒーは避けた方がいい。コーヒーを飲むなら、ミルク入りな」
「あ、ありがとうございます……」
「それはこっちのセリフだ。お前には情けない姿を見られてばかりだが、おかげで助かった。……ありがとう」