ひとりぼっちの上司と私
優しい微笑みを向けられ、胸の辺りがじんわり温かくなった。
上京してからずっと孤独で、仕事でも無力感に苛まれることが多かったから、自分が誰かの役に立てたことがうれしい。
……須田さんの素顔に、また少し近づけたような気がすることも。
オフィスに戻る途中も高鳴ったままの胸に手を置いて、思う。
前の彼氏との一件があるから、この、曖昧でふわふわした気持ちがなんなのか、今すぐ自分の中で答えを出す気はない。
彼は上司だし、年の差だってある。
ただ、須田さんが苦しい時や困った時、これからも本音を打ち明けてもらえる関係でありたい。
心の中でそう願うくらいなら、いいよね――。
「以上が『このグミ食べられません!』の概要になります。お手元の最終サンプルで、色感、触り心地をご確認ください」
会議室でスライドを前に新商品のプレゼンをしているのは、我らが商品開発部のリーダー、我妻さん。
基本的に自由で和やかなムードの商品企画部でも、時々ピリッとした会議が行われることがある。それは、新しい商品を世に送り出す前の監修会議だ。