ひとりぼっちの上司と私
「明後日だな。了解。他の仕事も、無理しないで適当にみんなに振れよ。お前が無理して倒れたら、商品企画部の舵取り役がいなくなってしまうからな」
言い方はぶっきらぼうだけれど、須田さんの優しい性格がよくわかる発言だった。
それに、今の私にはわかる。彼が社員に無理をさせないのは、彼自身に一度潰れている経験があるからだ。
以前、私の残業に渋い顔をした時も、自分と同じ経験をさせないようにと思っていたのだろう。
……彼のそういうところ、やっぱり人としてすごく魅力的だよね。
離れた席にいる須田さんを見ながら、胸にじわりと甘い気持ちが滲みだすのを感じる。
「……須田さん、悪いものでも食べました?」
ふいに、我妻さんが怪訝そうな顔をして彼に尋ねる。
「ん? どういう意味だ?」
「だって、須田さんが優しいなんて変ですもん! いつもの鬼のような顔をしててくれないと調子が狂います」
寒気がするとでも言いたげに二の腕をさすりだす我妻さんに、須田さんが苦笑いを返す。
「失礼だな。俺だって年がら年中怖い顔をしているわけじゃない」
「うーん……僕の前ではしてる気がするなぁ」
隣で不満そうな声を上げたのは社長だ。須田さんが冷たい目で彼を見る。