ひとりぼっちの上司と私
それは嫉妬という名の感情――side賢哉
最近、ゆうメロの中で加納と会わない。
本人に理由を聞いたわけではないが、おそらく、仕事が充実しているからだろう。
ゲームの中で見かけなくても、会社で生き生きとしている姿を見ているので、彼女の人間関係を心配することはなくなった。
ただ、そうなると自分はもうお役御免なのだという気がして、微かな寂しさも感じている。
以前、社長に前の職場である遠山物産の名を出されて情けない弱音を吐いてしまった時、彼女は精一杯俺を励ましてくれた。
その後もすれ違えば他愛のない話をするし、〝鬼上司〟として俺を怖がっていた頃とは違う、はにかんだような笑みを見せてくれるようにもなった。
前の職場での人間関係をリセットしてしまった俺には、弟以外に素を出せる相手などいなかった。
しかし、加納が相手だと無意識に隙や弱みを見せてしまう。
おそらく、彼女にはゲームの中で自分のカッコ悪い部分をすでに晒してしまっていたから、虚勢を張る必要がないのだ。
そうやって肩の力を抜いて接することのできる相手がいかに貴重なのか、年を重ねれば重ねるほどにわかってくる。
だから、これからも彼女とは、本音で語り合えるいい関係でいられたら……なんて、虫のいいことを考えていたのだが。
会社でじっくり話す機会はそう頻繁には訪れないし、ゲームを通した交流も減っている。