この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「鈴菜は……優しいんだな」
「優しい?私が?」
意外な褒め言葉を口にされ、とっさに理解が追いつかなくなる。
今まで『怖い』とか『キツイ』と言われることが圧倒的に多かったのに、航輝は真逆の言葉で鈴菜を言い表した。
「既婚者だと偽装してでも彼女の気持ちをわかってあげたかったんだろう?優しすぎるくらいだ」
航輝は戸惑っている鈴菜の頭をなでると、あの川のような穏やかな笑みを口もとにたたえた。
「そんな鈴菜が俺は好きだよ」
ぎゅっと握られた手から、ぬくもり以外のなにかが伝わってくるような気がした。
(優しいなんて初めて言われた)
たった数か月前に出会ったばかりで、『優しい』という言葉にはなんの根拠もないのに、なぜこんなにも満たされた気持ちになるのだろう。
航輝は鈴菜がなにを言っても笑って受け流すか、言葉の奥にある思いを察してくれる。
(夫婦になると皆こんな気持ちになるの?それとも……彼だから?)
鈴菜は気が付くと夕日に照らされた航輝の横顔にひたすら見入っていた。