この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「航輝さ……っ……!」
ねだるような甘い声で名前を呼ぶと、こぼれた吐息のひとつひとつを掬い上げるようにさらに舌が絡まる。
スマホのアラームが鳴り響いたのは、ふたりが興奮で我を失いかけたときだった。
「くそっ……!」
航輝は苦々し気な表情を浮かべながら鈴菜から離れ、左手で髪をかき上げながら、心底悔しそうに悪態をついた。
「この続きは日本に帰ってからにしよう」
欲望でぎらついた瞳をひらめかせたまま言い残すと、航輝は鈴菜の頬に軽くキスをして客室から出て行った。
(嫌じゃなかった)
鈴菜は口づけの余韻が残る身体を抱きしめながら、その場にずるずると崩れ落ちた。
最初は腹立たしいとさえ感じていた彼の強引な態度も、熱いキスもちっとも嫌じゃなかった。
むしろ好ましいと感じていた自分が信じられない。
(どうしよう……。私、航輝さんが好きみたい……)
航輝への恋心は日本から遠く離れたニューヨークの地で花開いたのだった。