この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「速水さん、結婚されたんですね」
「あ、はい……」
薬指には航輝に買ってもらった指輪が嵌められている。
以前と違って嘘をついているわけでもないのに、なぜかうしろめたくなる。
「速水さん、結婚されたのか雰囲気が変わりましたね」
「え?」
「前にお会いしたときよりも話しやすいです」
「そうでしょうか?」
「速水さんみたいな人も、結婚すると変わるんですね」
深山は感心したようにそう言うと、次のカウンセリングの予定を入れて帰っていった。
(変わったのかな?)
鈴菜はカウンセリングルームの片づけをしながら、彼女の言葉の意味を考えた。
結婚する前はどうやったらアドバイスを受け入れてもらえるのかということに囚われていたが、今はもっと大事なことがあると知っている。
結婚は自分自身だけでなく相手を幸せにするものだ。
深山にもそんな相手が現れてくれればいいなと、心の底から願っている。