この度、俺様パイロットとご成婚しました。


「俺、実は知っているんだよね~!速水さん、本当は結婚していないんだろう?いいじゃん。食事くらい!」

 若槻はにやにや笑いながら鈴菜の肩を抱き寄せ、強引にどこかへ連れて行こうとする。

 なぜ彼が鈴菜の秘密を知っているのだろう?
 どこから漏れたのかわからないが、今はそんなことを気にしている余裕はない。

「は、放してくださいっ!」

 若槻から逃れるため渾身の力を振り絞り身体をひねってかわすと、ようやく自由を取り戻せた。

「食事には行けません!」

 大声で叫ぶと若槻の顔がみるみるうちに怒りで歪んでいく。

「は?なんで?俺はだめで、あいつはいいのかよ?」
「あいつ?」
「ほら、この間速水さんと会う前にカウンセリングルームの中にいた、あのやたら背が高くてムカつく顔の男だよ。こっちは裏通りのバーからふたりが出てくるところを見てんだよ」
「そ、それは……」

 とっさにうまい言い訳が見つからず、鈴菜はしどろもどろで目を伏せた。

 まさか若槻に航輝と一緒にいたところを目撃されているなんて思わなかった。

 自分との私的交友を拒絶しておきながら、航輝は例外だというのは筋が通らない。

 鈴菜が困り果てたそのときだ。

「鈴菜っ!」
「航輝さん……」

 騒ぎを聞きつけた航輝が颯爽と現れ、鈴菜をかばうように若槻との間に割って入る。

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