この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「俺とあんたを一緒にするな。勘違いしているようだから、はっきり言おう。俺と彼女は結婚している」
航輝の堂々とした態度に一瞬怯みかけるものの、若槻はすぐに元の調子に戻った。
「はあ?嘘つくなよ!」
「事実だ。証拠もある」
航輝はジャケットのポケットからビロードの箱を取り出した。
蓋を開けると、台座には特注のダイヤモンドの婚約指輪が収められていた。
そういえば、そろそろ受け取りの連絡がくるはずだった。
航輝は鈴菜に内緒で取りに行っていただろう。
若槻は確認するように、指輪を覗き込んだ途端に目を大きく見開いた。
買ってもらった鈴菜ですら恐れる大粒のダイヤモンドは、彼がおいそれと買えない値段だ。
まごうことなき本物の輝きを目にした若槻の顔がみるみるうちに赤くなり、醜くゆがんでいく。
「この詐欺師っ!既婚者だからと嘘をついて俺を拒絶したくせに、金がありそうな男は積極的にたぶらかす女狐だ!婚活アドバイザーをしているのも、いい男を漁るためなんだろう!?」
結婚が事実だとわかった若槻が大声でわめきたてると、大通りを歩いていた人が何人も後ろを振り返っていく。