この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「私たち、予定通り離婚しましょう」
気がつくと鈴菜はそう口にしていた。
「は?」
航輝は信じられないとばかりに目を大きく見開いた。
「最初からそういう契約だったはずでしょう?」
こんな風に結婚を反対され続けた先にある未来が、素晴らしいものになるとも思えない。
「つまり、鈴菜は俺と離婚してもいいと思っているんだな」
「ええ、そうです」
もともと、互いに都合がいいからと交わした結婚だった。
お互いの利益になる部分が失われたなら、この結婚は無意味なものになる。
彼を好きになったのは誤算だったけれど、今ならまだ間に合う。
好きと伝える前で本当によかった。鈴菜は胸を突く痛みにあえて見て見ぬふりを貫いた。
「すぐに離婚届を準備をしますから」
「待てよ、鈴菜!」
鈴菜は航輝の反対の声を遮るように、自室に入り扉を閉めた。
航輝は納得してくれなかったが、鈴菜の決意は固かった。