この度、俺様パイロットとご成婚しました。
転機が訪れたのは鈴菜が離婚を切り出して一週間後のことだった。
「鈴菜〜!」
「どうしたの?」
デスクでメールの返信をしていた鈴菜のもとへ佐知がやってくる。
「どうしても鈴菜に会いたいって人が来ているんだけど……」
「私に?」
佐知は神妙な表情で鈴菜に耳打ちすると、うんと頷いた。
アポイントなしの来客なら鈴菜に話をする前に佐知が断るはずなのに、今日は様子が違う。
佐知は来客から渡されたと思しき名刺を、見ながら鈴菜に説明した。
「ええっと。来栖さんっていう六十歳ぐらいの男性なんだけど……」
「今行く!」
名前を聞くやいなや鈴菜は椅子から立ち上がり、早足で廊下を駆け抜けた。
「お父さま!」
「やあ、鈴菜さん」
事務所にやって来たのはニューヨークにいるはずの達夫だった。
立ち話をするのもなんだからと、鈴菜はすぐに空いているカウンセリングルームに達夫を案内した。
佐知のお茶出しも終わると、早速用件を尋ねる。