この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「どうして日本に?」
「定例の経営会議があってね。しばらく日本に滞在する予定なんだ」
達夫はにこやかに答えると、今度は一転して真顔になった。
「航輝から話は聞いているよ。睦美と揉めているということも。離婚を考えているそうだね?」
「はい」
鈴菜が頷くと、達夫はうーんと唸り始めた。
「実は日本に帰ってくる前に航輝とも話をしたんだ。航輝は睦美に君との結婚を認めてもらう代わりにパイロットを辞めるつもりらしい」
「そんなっ!」
鈴菜は思わずソファから立ち上がった。
あんなにパイロットという職業に誇りを持っていた航輝がそんな条件を言い出すなんて信じられない。
「その様子だと。君はちゃんと航輝が好きなんだね」
達夫は航輝そっくりの顔で穏やかに微笑んだ。
思わぬ形で自分の本心をさらけ出してしまい、鈴菜は気まずげにソファに座り直した。
「航輝と話をしてやってくれないか?君に航輝が必要なように航輝にも君が必要だ」
鈴菜の気持ちを確認すると、これから会議があると言って達夫は長居せず帰っていった。