この度、俺様パイロットとご成婚しました。

 自分をよく見せたいあまりプロフィールに嘘を混ぜてしまう人も少なくないが、あからさまなものはすぐ露見するものだ。

 信頼が命の結婚相談所はプロフィールの正確性を保証する意味で、入会前に独身証明書や源泉徴収票といった書類を提出してもらう必要がある。

 けれど、この人は実に堂々と嘘のような経歴を書き連ねている。
 もし記載してあるプロフィールがすべて事実なら、只者ではない。

 数多いる結婚相談所の会員の中でも滅多にお目にかかれない、スーパーハイスペック。こういった人はまず婚活市場に出てこない。

 プロフィールをサイトに登録しただけでお見合い希望が殺到するに違いない。
 さほど苦労せずに成婚退会を目指せる逸材だ。

(なにか訳ありとか?)

 これまで培ってきた経験から、裏事情を邪推してしまうのは婚活アドバイザーの性なのだろう。
 鈴菜がプロフィールを眺めながら、うんうんと頭を抱えて悩んでいたそのとき、事務所の扉がコンコンとノックされる。

「入会希望の方がお見えになりました」
「わかりました。ありがとう」

 来客を知らせる佐知に軽くお礼を言うと、鈴菜はコホンと小さく咳払いして椅子から立ち上がりカウンセリングルームへ向かった。

(相手がどんな人であれ、私はベストを尽くすだけ!)

 プロフィールを眺めて、ああだこうだと考えるのはやめるべきだと思い直し、カウンセリングルームのドアノブに手をかける。
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