この度、俺様パイロットとご成婚しました。
座面が大きめのゆったりとした造りのソファは、結婚相談所という特殊な空間で緊張する会員をリラックスさせるためのものだが、彼が身体を預けると王族のような優雅さを醸し出す。
「結婚相談所に来られるのは初めてでしょうか?」
「ああ」
「システムについてはご存じですか?」
「全く知らない」
正直に答える航輝に鈴菜は心の中でうんうんと深く頷いた。
(まあ、そうでしょうね)
彼のようなハイスペックかつ端正な顔立ちの男性を周りが放っておくはずがない。
結婚相談所を頼ろうと考えたこともなさそうだし、入会する必要性をあまり感じられないが、何事も憶測でものを判断してはいけない。
「それでは簡単に説明させていただきます」
鈴菜は入会希望者に渡しているパンフレットをテーブルの上に広げ、婚活における大まかな流れ、プロフィール登録から成婚退会までを一気に説明した。
「当相談所ではプロフィール作成、マッチング相手の選定、デート中の会話内容、プロポーズ場所の手配まで婚活全般のサポートをさせていただいております」
ようやく最後の一説まで終わると、鈴菜はふうっと軽く息を吐いた。
いつも説明している内容なのですべて頭に入っているが、改めて説明すると長い道のりだ。
だからこそ、ひとりで乗り越えるのではなく、サポート役が必要不可欠だ。