この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「結婚相談所に入会すれば、結婚相手を探しているという実績が作れるし、母も少しは大人しくなると思って」
航輝がそう口にした瞬間、ヒクリとこめかみが動いたのが自分でもわかった。
「つまり……。あなたは本気で結婚相手を探すつもりがないとおっしゃっているんですか?」
「他に結婚するメリットが思いつかない。結婚は自由を縛る足枷にすぎないからな」
航輝は言葉の端々に皮肉を滲ませ、薄く笑うばかりだった。
(彼はなにを言っているの?)
鈴菜は今すぐにでも拳を振り上げたい衝動に懸命に抗った。正直言って腹立たしい気持ちでいっぱいだ。
(なにも知らないくせに……!)
結婚したいという会員の気持ちをないがしろにされたようで悔しくてたまらなくなる。
彼ら彼女たちがどんな思いで婚活に励んでいるか、彼は想像すらしていない。
仮交際が終了するたびに涙し、真剣交際が始まれば相手との関係に一喜一憂して、それでも誰かと一緒に人生を歩むため、めげずに心を奮い立たせている。
お金も時間も、目いっぱいかけても手に入れたいと願っている幸せの象徴を、単なる足枷だと断ずるその口調に我慢ならない。