この度、俺様パイロットとご成婚しました。
鈴菜は黙ってソファから立ち上がると、カウンセリングルームのドアを勢いよく開け放った。
そして、クルリと後ろを振り返り、呆気にとられている航輝に向かってニコリと笑いかけた。
「ここはあなたのような人が来る場所ではありません!どうぞお帰りください」
反論を許さぬ断固とした笑みに航輝も最初は面食らっていたが、やがてソファから腰を上げる。
「こんな扱いをされたのは初めてだ」
彼は怒りを露わにするどころが、ドアのそばに立つ鈴菜に対し楽しげに口角を上に引き上げる余裕すら見せた。
(なにがおかしいのよ!)
バカにされたようでなおさら気分が悪くなり、カウンセリングルームから立ち去っていく航輝の背中をひたすら睨みつける。
やがて彼が事務所から完全に姿を消すと、受付から慌てて佐知が飛んでくる。
「鈴菜!いったいなにしてるのよ!」
ドアを開け放ったせいで、カウンセリングルームの防音性は完全に失われていた。
激しい怒声は事務所中に響き渡っており、鈴菜が入会希望者を追い返したという話はすぐに真由子の耳に届いた。