この度、俺様パイロットとご成婚しました。
2.まさかのプロポーズ

「鈴菜!あなたいったいなにを考えているの!?本当にありえないわ!」
「申し訳ありませんでした」

 所長室に呼び出された鈴菜は、怒り狂う真由子に平身低頭ひたすら頭を下げた。

「相手がどんな事情を抱えていようと怒鳴って追い返すなんて、もってのほかよ!」
「はい。すべて私の責任です」
「あたり前よ!」

 自分の娘が犯した失態ということもあり、真由子はひときわ声を荒らげた。
 いくら謝ろうが、入会希望者を怒鳴って追い返したという事実は変えられない。

 結局、鈴菜はたっぷり一時間も真由子からお説教を食らった。

「鈴菜、大丈夫だった?」

 長かったお説教が終わり所長室から出るなり、心配そうな表情を浮かべながら佐知が駆け寄ってくる。

「うん、平気。ありがとう」

 真由子が激昂するのも無理はない。
 もし、悪評が広まれば、ビリーブマリッジの経営そのものが揺らぎかねない。

 自分が間違っているとは思わないけれど、感情に任せて行動してしまった点は反省すべきだろう。

 頭ごなしに怒鳴りつけなくても、もっと上手に入会を断れたはずだ。

(あれだけ言ったら、もううちの相談所には入会しないだろうな)

 逃がした魚が大きいのはたしかだが、時が戻せるわけでもない。
 なんといっても、この世に結婚相談所はごまんとある。

 婚活という言葉が一般化されて早数十年。
 それまでお堅いイメージのあった結婚相談所は、よりカジュアルに、より身近なものへと変わった。

 ビリーブマリッジはこれまで何百組もの成婚実績があるが、同程度の相談所は他にも存在する。

 彼がわざわざビリーブマリッジを選ぶ理由はない。

 ところが数日後。
 なんと航輝からもう一度カウンセリングがしたいと連絡があったのだ。
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