この度、俺様パイロットとご成婚しました。
◇
梅雨の最後を飾るような激しい大雨に見舞われた翌日は、抜けるような青空になった。
「うわあっ!暑い!」
佐知は雲ひとつない晴れ渡った空を見上げ、眩しそうに目を細めた。
梅雨明けが宣言された初日のこの日、昼過ぎには三十度を記録したらしい。
「早く片づけちゃおうか」
掃除道具片手に鈴菜はそう声をかけると、佐知と一緒にビリーブマリッジの目の前にある大通りの掃除を始めた。
昨日の大雨の影響で、大通りには街路樹から落ちた小枝や葉っぱがまだ散乱している。
昼過ぎになっても水たまりはなくならず、足もとが滑って危ないので、掃除をかってでたわけだが、どちらかといえば世間話に花が咲いてしまう。
「本当によかったね〜鈴菜!きっとあの人ならすぐに成婚が決まるよ!」
片手に箒を携え、せっせと小枝を集める佐知の声はどこか弾んでいるが、鈴菜は素直に喜べなかった。
「そうだね」
黙々と掃除に励む手つきは重たく、人知れずため息がでてくる。
『結婚について考えを改める』
先日取り次がれた電話の向こうで航輝はそう言っていた。
(アリバイ作りと言い切っていたのに入会を希望するなんて……)
なにか心境の変化でもあったのだろうか。
たしかに佐知の言う通り、彼ならすぐに成婚の実績がつくに違いない。
いまいち釈然としないが、結婚を希望するなら鈴菜にだって手伝えることがある。