この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「それにしても目が醒めるくらいのイイ男だったよね。鈴菜もあの人と結婚したいって思わない?」
集めたゴミを袋に入れ、結び目をつくってぎゅっと縛り上げている途中で、佐知がぐいぐいと肘をおしつけてくる。
(佐知の悪い癖がまたでたわね)
受付に座る彼女はことあるごとに、会員の品定めしては鈴菜に結婚してみたら?と軽い口調ですすめてくるのだ。
航輝がたぐいまれな容姿の持ち主なのは鈴菜も認めるところではあるが、それとこれとは話が別だ。
「ほーら。佐知だって知ってるでしょう?」
鈴菜はクスリと笑いながら、左手をすっと掲げてみせた。
薬指に嵌められた指輪が目に留まると、佐知はおどけるように肩をすくめる。
「本当に信じられない。いくら所長の命令だからって、普通既婚者のふりをする?」
ビリーブマリッジで唯一佐知だけは鈴菜が真由子の命令で既婚者を装っていることを知っている。
一点だけ間違っているとすれば、あたかも真由子が強制したかのような物言いだが、既婚者偽装の提案を受け入れたのは他ならぬ鈴菜だ。
訂正しようと口を開いたそのとき。
「おはよう」
誰かにいきなり声をかけられた。