この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「もっと具体的におっしゃっていただけますか?例えば、年齢や学歴。年収、結婚歴の有無など希望はありますか?」
情報サイトには日本全国から何千人もの結婚希望の女性が登録されている。
具体的に条件を絞らなければ、情報の波にさらわれ身動きが取れなくなってしまう。
「単刀直入に言おう」
航輝はそう言うとニヤリと不敵な笑みを浮かべ、鈴菜の瞳をまっすぐ見据えた。
「俺は君と結婚したい」
彼がそう口にした瞬間、時が止まった気がした。
「私と結婚したい……?」
突然のプロポーズをうけ、鈴菜は目を何度も瞬かせた。
聞き間違いでなければ、彼はたしかに結婚と口にしていた。
呆気に取られた鈴菜は、仕事中だということも忘れ、しばらくポカンと口を開けた。
しかし、惚けてばかりではいられない。
すぐに我に返ると、あははとあえて陽気に笑い飛ばしてみせる。
「申し訳ありません。私、実は既婚者なんです」
鈴菜は証拠とばかりに左手を顔の横に掲げた。
(私としたことが、これぐらいで取り乱すなんて)
似たようなことならこれまでにもあった。
婚活アドバイザーという職業柄、プライベートな話題や、根深いコンプレックスを相談されることも多い。
鈴菜がじっくりと話に耳を傾けると、すべてを打ち明けられた安心感からか、信頼が愛情に変わり、アドバイス以上のなにかを期待する男性も過去にはいた。
航輝もそんな男性の内のひとりだろう。