この度、俺様パイロットとご成婚しました。

「彼は……優しい人です」
「『優しい人』か。なるほどね」

 あらかじめ考えておいた設定だが、よくある言い回しを使ったせいなのか馬鹿にされているように感じて、思わずムキになる。

「笑顔が素敵な読書家で、ウォーキングが趣味です!」

 説明すればするほど嘘っぽく思えてしまうのはなぜだろう。それでも最後まで嘘を突き通さなければならない。

「結婚してどれくらいだ?」
「三年です。今は単身赴任中で離れて暮らしていますけど、仲が良いんです」

 口先だけではなんとでも言える。鈴菜は仕方なく私用のスマホの画面を航輝に見せた。

「去年のクリスマスはわざわざ単身赴任先から帰ってきて、クリスマスディナーを予約してくれました」

 画面に映し出されていたのは、鈴菜と男性がレストランで食事をとっている写真だ。
 もちろん写真は偽物である。鈴菜の写真を画像編集ソフトに取り込ませて、それっぽく合成したフェイクだ。

 いざというときのために、こういった写真をいくつか用意しておいてある。

 渾身のエピソードを大見得きって話すと、航輝は耐えかねたように、クククと声を押し殺しながら低く笑った。

(なんなの!?)

 なぜ笑われているのか理解できず、不満が燻っていく。
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