この度、俺様パイロットとご成婚しました。
「しょ、食事をしたのはクリスマスではなく、その次の日で――」
「見苦しい言い訳はやめるんだな」
弁解の言葉を遮るようにバッサリと言い捨てられ、逃げ場がどこにもないのだと悟る。
「既婚者だなんて嘘だろう?さっき、受付の女性がそう言っていたじゃないか」
鈴菜ははっと顔を上げた。
(あのときのっ!)
事務所の外だったので、すっかり油断していた。
まさか佐知との会話を聞かれていたなんて、予想もしていなかった。
「もっとわかりやすい言い方に変えようか?」
完全に優位に立った航輝の瞳の鋭さは増している。
「嘘をついていることをばらされたくなければ俺と結婚しろ」
「脅すつもりですか!?」
相手の弱みをつくのなら、それはプロポーズではなく単なる脅しだ。
「独身の婚活アドバイザーだと周りに知られて不都合があるのは君の方だろう?だから周りに隠している」
図星だった鈴菜はうぐっと押し黙った。
既婚者のふりをしているのは、真由子からの命令ではあるが、受け入れたのは鈴菜自身。
いまさら嘘でしたと会員に知られたら、せっかく築いてきた信頼関係にひびが入ってしまう。
彼らを大切に思っているからこそ、この脅しは効果覿面だった。
鈴菜はキッと航輝を睨みつけた。