この度、俺様パイロットとご成婚しました。

『結婚もしたことがないあなたに、いったいなにがわかるっていうのよ』

 彼女と初めて出会ったのは鈴菜が真由子のアシスタントを経て、婚活アドバイザーとして独り立ちをしてからまもなくのことだった。

 彼女——深山(みやま)はおとなしい印象の女性だった。

 三十代後半で黒髪のボブヘア。質素な印象だった。身長も日本人女性の平均くらいで資格があるわけでも、突出した経歴があるわけでもない。

 初めての担当会員ということもあり、鈴菜は張り切っていた。

 彼女のために夜遅くまでコーディネートを考えたり、デートの会話をケーススタディを考えたりと、献身的に婚活をサポートしていた。

 ところが、努力はむなしく、男性へのお見合いリクエストはことごとく断られた。
 彼女は離婚歴があるうえに、結婚相手の条件に対する理想が高く、男性側の希望条件とマッチしなかったのだ。
 困り果てた鈴菜は、深山に訴えた。

『条件を少し変えてみませんか?このまま条件に合致する男性を待つなんて時間がもったいないですよ』
『いいえ!絶対に条件は変えません!』
『ですが……』

 鈴菜が根気強く諭しても彼女は聞く耳を持ってくれなかった。
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